[収録曲]
01. sound of dream
02. helpless
03. wind grow
04. dancer
05. word
06. as velvet
07. upstanding
08. timeless sleep
09. joy
10. hide it
日本が世界に誇る若き才能、音楽家であ映像作家でもある高木正勝。多くの作品でメインヴォーカルを務め、ライヴへも出演。彼の作品にとってかかせない大切な声をもった女性シンガー当真伊都子。そんな彼女から、限りなくプライベートな録音環境のもと、ひっそりと届けられた私信のような自身初の音源は美しくもあたたかな歌声とピアノによる弾き語りアルバム。装飾というものを払拭した純真無垢でシンプルなアプローチ。静寂をかすかに破る美しい旋律が印象的で、浮遊感を湛えたエンジェリック・ヴォイスに軽やかで天衣無縫の歌に満ちたピアノは美しい風景が立ち現れてくるような素晴しさです。ある種、ニューエイジともクラシックとも通じる、清冽さに心奪われるセンチメンタルで内省的な音の響きは現代社会で有効なヒーリング的なピアニズムと言えるでしょう。
また写真、ドローイング、デザインと高木がADの全てを手掛けた4C24Pブックレット付き豪華ジャケット。彼の作品集とも言えるような魅力的なアートピースです。
8年前、岡山の小さなライブ会場。地元のバンドが演奏する舞台の片隅から突如、“違和感”のある歌声が鮮やかに飛び出した。ちっとも場にそぐわない音。その歌声は僕を慣れ親しんだ場に連れ込んだ。まるで散歩途中に誰かの家から漏れてきたピアノの練習のような、とてもプライベートな歌声。ライブが終わった後、僕の曲を歌ってもらえないかと話し掛けた。別れ際、彼女は一枚のディスクを手渡した。ピアノの弾き語り、ビートルズのカバーが入っていた。誰かに聴かせる為の録音でないのは一聴してわかった。一人、自分の為に歌い、自分の為に録音された、彼女にとって大切な一瞬の記録。何度も何度も聴いた。その時からずっと僕は、彼女のそんな素敵な時間の断片がたくさんの人に届けばいいのにと思い続けてきた。ここ数年、彼女は一年に一度くらいの間隔で自作の曲を届けてくれた。毎回、アルバムの形で。前回と同じ曲があっても必ず演奏し直されていて、その時その時の彼女の状態がそのまま音として記録されていた。それは音による日記そのもので、それ故に切実な記録だった。音楽は、確実に、彼女に寄り添うもので、だからこそ彼女は日々を、その瞬間、目の前に現れた音たちを愛する。そんな素敵な時間が、ようやく色んな人と共有される。一番喜んでいるのは、他でもない、愛された音たちだろう。
(高木 正勝)
